私が子どもの頃飼っていた犬は、ドライブが趣味でした。
当時は犬は外飼いだったので、たまに庭から脱走してしまうことがあったのですが、そういうときもあまり遠くには行かないで、隣の家の庭などからこちらの様子をうかがっているような犬でした。

でも、「ご飯よ~」とか「お菓子よ~」とか呼んでも戻ってこようとはしなかったんですが、「車に乗るよ~」と言って、車のドアを開け閉めする音をさせると、急いで戻ってくる犬でした。

そんな犬だったので、父の運転で、家族で祖父母の家に行くときに犬も連れて行くと大喜びでした。
犬は車の後部座席に乗って、窓を開けて、窓枠に前足をかけて、外を眺めるのが好きだったので、私が後部座席に座り、犬が外を見れるような長さでリードを持っていました。

犬は、毎回乗るたびに左右どちらの景色が面白いか迷うようで、乗り込んでしばらくは落ち着きなく、左右を行ったり来たりしました。
行ったり来たりするたびに私の足を踏んだり、太ももを踏んだりするのが痛かったのですが、犬のその様子が可愛くて、私は痛いのも気にならなくて、いつも笑っていました。
私はだいたい左側に座っていて、犬は毎回迷うくせに、結局はいつも私がいる左側の窓を見ることに決めて、私の足を踏みながら、外を見ていました。

車なのだし、帰り道だと夜なのだから、すれ違う車のライトを見たいなら右側になると思うのですが、田舎で、真っ暗な景色の方が多い左側を選んだということは、後から思うと、犬にとっては、私と一緒に外を見るという状況が楽しかったのかなあと思って、改めて、当時の犬の様子が可愛くて、なつかしく思い出します。

犬は、お出かけすること自体よりも、車に乗ることが好きだったようで、一度川に連れて行った時は、川原で遊ぼうともしないで、車のそばにいました。
私は今は普段は車に乗らない生活をしているので、ドライブというと、子どもの頃飼っていたその犬を思い出します。